スピーカーにはさまざまな調整が加えられることが多いですが、その代表格のひとつが「エージング」という作業です。
いったいそれは何なのか?なぜ必要なのか?どのようにすればよいのか?
解説していきます。
そもそもエージングとは?
エージングとは、長い時間スピーカーを鳴らすことで、スピーカーの音が良くなっていくことをいいます。
本来の実力を発揮する、というのが正しい表現でしょうか。
スポーツをするときなども、いきなり本番では良い成績が出なかったりケガをしてしまうことが多いので、まずウォーミングアップをしますよね。
エージングも、そのウォーミングアップをするようなイメージです。
ところで、なぜエージングをする必要があるのでしょうか?
その理由は、スピーカーのエッジにあります。
スピーカーのエッジには劣化を防ぐために薬剤が使用されているのですが、そのために最初はエッジが硬めになっています。
これを、適度な振動を与える(つまり、音を鳴らす)ことによりだんだんとやわらかくしていくことで本来のスピーカーのパフォーマンスに戻していくからなのです。
このことを、「マリンス効果」と呼びます。
エージングの具体的な方法
エージングをするときのポイントは、「時間」と「音量」です。
エージングをするのに必要といわれている時間は、そのスピーカーごとに異なりますが、およそ100時間から300時間の間といわれています。
1日24時間鳴らし続ければ、遅くとも2週間以内にはエージングが完了する計算になりますね。
しかし、エージングにはもうひとつのポイントがあります。
それは、「ある程度大きな音量で鳴らす」ということ。
なぜなら、ある程度以上の振動をスピーカーに与えないとエッジの変化に影響を与えられないからです。
目安としては、「昼間に聴いてもややうるさいと感じる程度の音量」。
つまり、防音対策がかなりしっかりした部屋でなければ、24時間昼夜問わず鳴らし続けるのは難しいということです。
そこで、多少荒々しい方法ですが、小さめのスピーカーなら、布団でスピーカーを巻いて床に置いてそのまま鳴らすという方法をとったりします。
布団を巻けばかなりの防音効果を発揮するので大きめの音で鳴らしても大丈夫でしょう。
マンションなどでは、できるだけ振動が行きわたらないように、スピーカーを上向きにしたり敷布団を下に敷くなどの対策をとるようにしましょう。
大きめのスピーカーは、とりあえず前面に布団をかぶせ、できるだけ昼間の時間に鳴らすことを心がけましょう。
ネジのゆるみにご用心!
以上のような流れで、エージングを行います。
きっと、新しく買った頃よりも柔軟でよい響きが部屋中を包むことでしょう。
ただし、落とし穴がひとつ。
エージングが終わった頃によく起こるのが、スピーカーのネジがエージングによる振動でゆるんでいることです。
見た目ですぐわかるようなことはないと思いますが、ドライバーで巻きなおせば意外とゆるんでいることがわかると思います。
このネジのゆるみは、振動に弱くなってしまうため想像以上に音質に影響をあたえます。
必ずこの点もチェックした上で仕上げをしましょうね。