オーディオにおいて、特にスピーカーに関しての話題ででてくることのある言葉のひとつに「クロスオーバー」というものがあります。
クロスオーバー周波数とか、クロスオーバー調整という風に使われますが、これはいったいどのような意味なのでしょうか?
■クロスオーバーとは何か?
ウーファーからは低音が流れる。
ツイーターからは高音が流れる。
あまりにも当たり前のことですが、これはスピーカーの素材そのものが低音(高音)しか流れないようになっている、という訳ではありません。
たとえばツイーターから低音を鳴らすことは可能だし、ウーファーに高音を鳴らすことも不可能ではありません。
しかし、ウーファーはもちろん低音を良く鳴らすために作られているし、ツイーターも高音向きに作られています。
しかもツイーターに低音を流すと、流すことはできるがすぐに焼き焦げて完全に壊れてしまうことさえあります。
では、どのようにそれぞれのスピーカーに低音、高音が流れているのでしょうか?
その役割を担うのが、クロスオーバーネットワークという回路です。
通常はスピーカーの中に組み込まれていますが、単独で回路として存在している場合もあります。
この回路を使い、それぞれのスピーカーに流れる音の周波数を区切っているわけです。
実際には高音と低音という2通りの分け方だけでなく、3ウェイスピーカーなどのように低音、中音域、高音と分けることが多いです。
クロスオーバーは調整が重要
しかし、スピーカーにおいては、どこまでの周波数が低音で、どこからが中音域、どこからが高音・・・と明確に決まっているわけではありません。
そのため、この周波数をどこで区切るかという、クロスオーバー調整などが行われます。
この調整しだいで、本来ミッドレンジスピーカーで鳴らすべき周波数帯をウーファーで鳴らしていたのを調整して改善したり、といったことを行うことが可能です。
ある一定の周波数以下を流さない、あるいは流すという作業となるので、「フィルター」という概念が存在します。
ある音域よりも上の音域を通すフィルターを「ハイパスフィルター」と呼び、逆にある音域よりも下の音域を通すものを「ローパスフィルター」と呼びます。
実際にどのようにフィルターを通すかは、そのスピーカーの特性なども絡んでくるので、慎重な調整が必要となります。
身近なクロスオーバー調整とは?
このように、クロスオーバーはスピーカーにおいて重要な問題であるといえます。
ホームシアターなどでもよく使うサブウーファーには、多くのものがクロスオーバーの調整ツマミがついています。
これはサブウーファーでどの周波数帯まで音を出すかというのを決めるツマミです。
この調整で音全体がどのように変化するか?
これが一番簡単にクロスオーバーに触れることのできる手段ではないでしょうか。